感性に乾杯

友人が、外国で撮った写真を並べて見せているというので、
昨日の退勤後、出向いた。
主にアジアを旅行しながらAFで撮った写真を数枚、
さりげなく知り合いのバーで飾っていた。

ここ数年タイを行ったり来たり。
日本に戻ってバイトでお金を貯め、またタイに行く。
いずれは向こうで仕事を探して住みつくつもりだそう。

頭の隅で「うらやましく」もあり、またどこかでは
「大丈夫かいな？」という思いもあって、私としては
今まで話は聞きながら、「所詮夢やろ」と思っていた。
だが、本人はいたって戦略的というか、計画―いわゆる
人生設計をたてた上で実行しようとしているのが、
写真の作風を通して感じられて、やっと「そんなら頑張れよ」
と彼に言えるようになった。
もうかれこれ10年の付き合いだけど、成長したよな。
会社勤めのボンクラあんちゃんより実が詰まっておる。

いかつい風貌とは真逆の作風。
ひねくれたことを言う割には純粋じゃねえか。
名も無い、ただのカメラ好きのにいちゃんが、
知り合いの店にちょっと飾らせてえや、って感じの
お披露目なのだが、なかなかどうして。

賞賛はすぐれた感性にこそ贈られるべきだ。
そして、すぐれた感性は理論のみで創られるものではない。

なんて、帰途終電待ちのホームで、
『恋から』のオープニングみたいな文句を
ちょっこし吐いてみたくなった夜。