掘削跡

春先名だたる通りの一角に温泉掘削のタワーが建っていて
「ほほー、こんなとこに温泉出たら、毎日通っちゃうもんね♪」と
湯浴み好きの私は内心弾んでいた。
ただその前を歩いていて見つけただけで。

そして、季節が過ぎ、今日その前を通ったら
もうタワーは撤去されていて、さら地になっていた。
堀跡には土嚢が積み上げられており、寂しい事この上ない。

きっとこの土地を持つ無駄に金持つオヤジが一発当てちゃろうと
グングン、ズンズン掘り進んでいたにちがいない。
それでも一向に涌いてでないもんだから、「つまんねー」とか
なんとか言って引き上げてしまったんじゃないか。

ちぇっ、つまんねーの。

ま、確かにあんなとこに温泉が涌いて、よしんばスーパー銭湯が
できたとて、TATOO入りのおねいちゃんと一緒に湯船につかるのは
ちょっと勘弁して欲しい。
それに周り高いビルだらけだし、おまけに日中ブンブン
消防や新聞社のヘリなんか飛んでたりするような街中で、
露天風呂につかるのも想像しづらい。

でも、どんだけかかったんだろう、お金。
無駄だと知りつつやったんだろうか、どこぞのお金持ち。