彼ら一家は中国へ帰る。
たとえ一日でもボスの方が長く出勤すると
何が起こるか分からないので今年は安心だ。
先走りはするわ、勘違いのまま連絡するわ
居ない間に人の机の上の書類を見るわ、で
本来休業の日に、お客さんと要らぬ連絡を取ると
いつも出勤してきてると思われるから、
ケジメはつけて欲しいんだけど。
しかし、その体質は変わらないらしい。
どうせ土曜日があるから、と仕事の捗り具合を
考えなくなるし、段取りすら立てられない。
ま、そんなことが年末ギリに起こらないので
私としてはとても楽な年末に。
できるだけ、今日中にカタをつけてくれ。頼むぞ。
☆★☆
先日お昼に食事をした店で。
奥に数人で入れるテーブルの小部屋があった。
私たちはその入り口脇の席に案内されたんだけれど
小部屋にはドアもないので、部屋の中の会話がまる聞こえ。
しかも、おっちゃんばっかりのグループ、声がでかい。
こっちはプライベートな話なのでひそひそ喋っていたが
声が負けてしまうので、目配せをしながら聞こえてしまう話に
耳を傾けることにした。
「組織としては…」え？ 組関係か？
「階級から言っても…」もしかしたら…
「昇進試験を受けて…」
そうや、江戸時代なら火附盗賊改・鬼平軍団や。
「○○は、事務仕事できるけど、捜査となると努力しよらん」
「××の帳場のときはえらかったですなー」
次々に聞こえる話は紛れも無く、そのスジの事。
確かに垣間見える顔はごつい。しかしよう喋る。
土曜日やっちゅーのに、昼間っから酒か。
どこの署やろ…。ええんかいな、外に漏れてまっせー。
連れとこそこそ言いながら、探っていたら、
見るからに下っ端のちょっと若目のおっちゃんが
「おねえちゃん、鍋のうどん三つ頼むわ」
と言いながら顔をのぞかせて、私らにウインク。
ええんかい、それで。
☆★☆
年度末の値引き伝票を切りながら…
クレームなのか、温情値引きなんか、はっきりせんかい。
またしてもボスの記憶が飛んでしまったことに
最終日にイラつく。いかんね、ったく。
「今年もお世話になりました」と挨拶して退勤しよ。
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