妹に、着くから受け取ってコールをした。
「久しぶりやん」
「おぅ。明日荷物着くから家に居てや」
「分かった。でもなんか声暗いで」
母親というものは、いや女というものはどうして声でも
相手の心情が手に取るようにわかるんだろうか。
私もよく分かる方だけれど、もし、自分が電話して、いきなり
「なんかあったん？」て相手に言われたらイヤな性格なので
逆の立場で声の様子がおかしいと思っても、相手が話し出すまで
何も切り出さないようにしている。
電話をかけて、「何か用？」って最初から切り込まれるのは
かなり気分悪いし。
これは、普段奇奇怪怪のお客を相手しているから、
結果、冷徹になったのかもしれないとも思う。
「そう？ 別に何もないで。梅雨でジメジメしてるからちゃう？」
「ん、ま、確かにうっとおしいけどな」
実を言うと、迎撃準備でかなりナーバスになっている。
仕事もかなりややこしい局面を迎えているし、
待遇の交渉もせなならん。来月の休暇の交渉もせなならん。
ほんま、いっぱいいっぱい。
でも、昔から身内には泣き言を言えなかったし、
言ったところで、天然の妹は
「ふ〜ん、そっかあ」という豆腐のような返事をするだけだ。
私たち姉妹弟は、折有らば干渉しようと虎視眈々としている母の眼を
かいくぐってきて、こどもなのに割と甘えるということをしなかった。
だから、あまり姉妹弟同士でも生活に干渉が無い。
す、するどい妹。キミにも母親の血が流れてるんだね。ほほ。
家族の存在は深〜いところで拠り所になってはいるし
感謝もしている。思うように生きていけてるのもそのお陰。
そう思いつつ、見果てぬ夢の舞台を実家のある土地に据えないのは
「親不孝」というものなんだろうか、としみじみ考える。
あー。やっぱめちゃくちゃナーバスやわ。
コメント